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精神科看護師なら知っておきたい「日本で数少ない児童・思春期病棟の重要性とは?」

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精神科看護師なら知っておきたい 日本で数少ない児童・思春期病棟の重要性とは?
精神科看護師なら知っておきたい 日本で数少ない児童・思春期病棟の重要性とは?

こんにちは、サイト管理人のnano(ナノ)です。
このコラムでは、精神科看護師なら知っておきたい精神科の病棟の種類やその病棟の対象者などについて、わかりやすく解説をおこなっていきます。

今回は、精神科病棟の入院料「児童思春期病棟の重要性」について、「児童思春期病棟は、どのような病棟なのか?」という点もふまえながら紹介したいと思います。

日本で数少ない児童・思春期病棟の重要性とは?

児童思春期病棟の対象者は?

児童思春期病棟の対象者は、主に12歳から18歳までの児童・思春期の患者を対象とする精神科病棟です。思春期年齢にある患者さんを対象にした特別な精神科病棟です。この年代はとくに成長期ということもあり、身体的・心理的な変化が大きく、さまざまな精神的困難を抱えていることが少なくありません。
中学・高校生の年齢層を主な対象とし、地域の医療機関からの紹介や教育機関、福祉機関、ご家族からの相談にも対応する病棟です。思春期の患者さん特有の精神的、心理的な課題に対し、医師、看護師、公認心理師、作業療法士、精神保健福祉士など多職種の専門家が連携して集約的な治療を行います。

治療対象の精神疾患

  児童思春期病棟では、さまざまな精神疾患が治療対象となります。主な疾患としては、うつ病、摂食障害、発達障害、統合失調症、不安障害などが含まれます。また、自傷行為などの急性な症状を持つ患者さんも対象です。児童・思春期病棟の目的は、患者さんの症状の見立てを行い、症状の緩和や本人の成長促進、対人関係についての考察や家族のサポート、地域との連携などを含めた包括的な治療とサポートを行うことです。これには、公認心理師による心理プログラムや作業療法士による精神科作業療法などを通じて病気の回復を促し、安定した生活への支援が含まれます。

思春期病棟の対象者は、中学生から高校生の年齢層にあたる若者たちです。特に、学校や家庭での生活が困難になったケースや、暴力行為、自傷行為などが見られる場合に効果的な治療が期待されます。このような患者さんには、精神科的入院治療が行われ、精神症状や問題行動の意味を慎重に考えながら対応していきます。

日本における思春期病棟の現状

 日本における児童思春期病棟は、精神科や思春期精神科病棟の一部として重要な役割を果たしています。しかし、その数や全国的な分布は限られており、現状についてしっかり把握しておくことが大切です。

全国の病棟数と分布

 全国には多数の精神科病院が存在しますが、その中で児童思春期病棟を持つ病院は限られています。児童思春期病棟とは、思春期の患者さんに特化した診療を行う病棟であり、その設置数は全国的にわずかな割合です。主に都市部の大規模な医療機関に集中しているため、地方ではアクセスが難しい現状があります。また、全国の病棟数を増やし、分布を均衡化させることが、今後の重要課題です。

都道府県別の特徴

 児童思春期病棟の設置状況は都道府県によって異なります。東京都や埼玉などの大都市圏でも、不足しておりますが児童思春期病棟は設置されており、地域のニーズに応えています。しかし、一部の県では思春期病棟が存在しない、もしくは非常に限られた数しかないため、利用にあたっては長距離の通院や転居を余儀なくされる場合もあります。地方自治体は、地域の医療機関と連携して児童思春期病棟の設置を推進し、患者さんやそのご家族の支援体制を整えることが重要です。

 専門性の高い知識と技術を持つスタッフが揃うことで、思春期の患者さんに対する質の高いケアが提供されるようになります。

思春期病棟の重要性

思春期の精神的健康

 思春期は肉体的・精神的に大きな変化を迎える重要な時期です。この時期に適切なサポートや治療を受けることは、将来の患者さんの健康な成長に大きな影響を与えます。児童思春期病棟では、精神科医や公認心理師、作業療法士などの専門家が連携して、患者さんの個々の症状に応じた集中的な治療を提供します。このような環境での入院は、短期間で効果的な治療を受けることができ、長期的な精神的健康につながります。

家族との関係改善

 思春期の患者さんの精神的な問題は、家族関係にも大きな影響を及ぼすことがあります。児童思春期病棟では、患者さんだけでなくご家族に対するサポートも重要視しています。カウンセリングなどを通じて、家庭内のコミュニケーションを改善し、お互いの理解を深めることが可能です。これにより、家庭環境が安定し、患者さん自身も安心して治療に集中できる環境が整っていきます。

社会復帰のサポート

 児童思春期病棟では、入院期間中に社会復帰に向けたサポートを行っています。具体的には、教育プログラムや生活指導を通じて、社会的スキルや自己管理能力の向上を図ります。また、地域の学校や福祉機関とも連携し、退院後の生活の場をサポートします。
サポートをつなげることにより、患者さんは退院後もスムーズに学校生活や社会生活に戻ることができ、将来に向けた健やかな発達を支援します。

思春期病棟での治療とケア

他職種との連携

 児童思春期病棟では、精神科医師や精神科看護師だけでなく、精神保健福祉士や作業療法士・公認心理師など、多職種が連携して治療を進めます。これによって、患者さん一人ひとりに適した統合的な治療が提供されます。医療スタッフだけでなく、学校や福祉機関とも連携し、地域のネットワークを構築することにより、患者さんの治療だけでなく、退院後の生活支援も行います。この多職種での連携により、入院期間を短くし、より早い社会復帰を目指すことが可能となります。

思春期病棟の課題と未来

社会的認知度の向上

 児童思春期病棟の重要性は未だ十分に社会に浸透していないのが現状です。浸透していないがために、適切な治療や支援を受けられる機会が減少し、患者さんやご家族が孤立感を抱えることも少なくありません。社会全体で「児童思春期病棟とは何か?」「どのような支援を提供しているのか?」といった情報を広め、認知度を高めることのために今回コラムで紹介させていただきました。

今回のポイント
1.主に12歳から18歳までの児童・思春期の患者を対象とする病棟がある
2.児童思春期病棟が少ない都道府県もあり設置状況の改善が必要である
3. 医療スタッフだけでなく、学校や福祉機関や地域のネットワークを構築が必要である

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
簡単に説明しましたが、精神科病棟の入院料の種類のなかで児童思春期病棟が存在する。12歳から18歳までの児童・思春期の患者を対象とする特別な病棟があることを覚えていただけましたでしょうか?
精神科看護師さんの豆知識としてこのコラムが少しでもお役に立てれば幸いです。

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